働き方改革とは

2020年12月07日 | コラム

働き方改革とは

「働き方改革」とは、働き手のニーズの多様化や生産年齢人口の減少を背景に、一億総活躍社会のスローガンの下、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにすることで労働生産性を改善し、日本経済を再生するための改革です。
 働き方改革には3本の柱があり、①長時間労働の是正、②正規、非正規の不合理な処遇差の解消、③多様な働き方の実現です。

働き方改革関連法とは

 働き方改革実現のため、2019年から働き方改革関連法(関連する8本の労働法の改正を行うための法律の通称)が順次施行されております。働き方改革関連法は、戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革と言われるほどの大規模な法改正といえます。
 改革の内容は多岐にわたりますが、各企業において喫緊に対応が必要な法規制としては以下の2つがあります。

①時間外労働の上限規制

【施行:2019年(中小企業2020年)4月1日~】

時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的に特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要があります。

②同一労働同一賃金

【施行:2020年(中小企業2021年)4月1日~】

正規・非正規労働者間における、職務内容その他の事情を考慮しての不合理な差別を禁止し、また、職務内容その他の事情が同一の場合には差別的取り扱いを禁止するもので、正規・非正規間に待遇差がある場合はその内容や理由について説明することが義務化されました。

働き方改革関連法対応のための具体的施策

①時間外労働の上限規制に対応するための施策

 時間外労働を制限する前提として、労働時間の管理・把握が必要となります。
 働き方改革関連法が議論される以前から、賃金支払いの前提となる労働基準法上の労働時間については、使用者において管理把握義務を負っているとするのが裁判所の一貫した立場でした。
 これに加えて、働き方改革関連法施行後は、労働安全衛生法上、使用者は労働者の健康確保の観点から労働時間の管理把握義務を課せられることとなりました。労働安全衛生法上の労働時間の管理把握義務は、労働基準法上の労働時間の管理把握の対象から除外されている管理監督者や裁量労働制の労働者等、高度プロフェッショナル人材を除くすべての労働者が労働時間把握の対象とされています。
 そして、労働時間の管理把握の在り方として、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」においては、労働時間の管理把握の方法として、「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録する方法」と「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録する方法」を求めており、一部の企業において用いられている自己申告制の労働時間の管理把握については例外的な場合のみ認めています。未払い残業代請求訴訟や長時間労働に起因する健康被害を理由とする損害賠償請求訴訟においても、自己申告制によって管理把握された労働時間に関する使用者側の主張は否定される傾向にあります。
 以上から、働き方改革に対応した労働時間の管理把握としては、客観的な記録が残り、且つ、労働時間の実態が適切に把握できる勤怠管理システムの整備が必須といえます。
 この点、労働時間の適正な把握のためには、クラウド型の勤怠管理システムを用いる企業が多いです。
 当事務所においては、企業の労務実態に合わせた適切な勤怠管理システムの導入及び運用のお手伝いを行っております。

②同一労働同一賃金に対応するための施策

 同一労働同一賃金に対応するためには、まず現状の正規・非正規従業員について、職務内容その他の事情についての違いと、それぞれの待遇の違いを確認する必要があります。
 ここでいう待遇には、賃金(賞与・手当を含む)や福利厚生をはじめとした一切の待遇が含まれます。
 そして、正規・非正規従業員間で待遇に違いがある場合は、それぞれの働き方や役割の違いに応じた違いであると説明できるかがポイントとなります。
 企業としては、正規従業員と非正規従業員の待遇の違いが「不合理ではない」と説明できる状態にしていなければなりません。
 この点、「不合理ではない」といえるかについては、平成30年に最高裁判所の判例が出たほか、現在多くの裁判例が集積し始めています。同一労働同一賃金に対応した改善策は企業毎に異なってくるうえ、制度設計にあたっては裁判所の考え方に依拠して制度設計を行う必要がございます。
 同一労働同一賃金の対応に迷われている企業様におかれましては、是非当事務所にご相談ください。

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