人事評価制度について

2020年12月07日 | コラム

人事評価制度とは

人事評価制度は、主に「評価制度」、「等級制度」、「報酬制度」の3つの制度から成り立っています。四半期・半年・1年など、一定の期間ごとに評価を行う場合が多いです。評価制度は従業員の業務内容やその成果を評価する方法を定めた制度、等級制度は企業内での等級と共に、その等級ごとに求められる役割や与える権限を示す制度、報酬制度は従業員の給与や賞与などを決める制度です。従業員のがんばりや能力を評価して、昇給や昇進、昇格、賞与などに反映するための仕組みで、人材戦略の根本となるものです。

人事評価制度の評価項目

評価項目は下記の3つに分類することができます。

  1. 成果・業績評価:売上や利益など仕事の結果を評価
  2. 能力評価:仕事を遂行するために必要な能力や知識、資格を持っているかを評価
  3. 情意評価:仕事に対する姿勢を評価

人事評価制度における法令遵守とは

人事評価制度を導入・運用する上では、同一労働同一賃金は最低限踏まえなければなりませんが、他にも留意すべきことはございます。場合によっては違法と判断されることがあり、違法として損害賠償請求を認めた裁判例は以下の通りです。

マナック事件

  • 従業員が勤務中に経営陣を批判する発言をし、勤務成績を理由に降格と減給が行われた
  • 降格処分と昇級査定は違法ではないと判断
  • しかし、賞与の減額については労基法九一条に違反する部分につき違法性が認められるとして、請求が一部認容された

コナミデジタルエンタテインメント事件

  • 従業員が育児休業後復職した際、降格および減給が行われた
  • 降格(担当・配置の変更)、役割報酬減額のいずれも人事権の濫用とまでは言えなかった
  • しかし、一部裁量権濫用行為として違法な行為に当たり、慰謝料等の支払いが認められた

住友生命保険事件

  • 既婚女性であった女性従業員ら12名(育児休業等を取得していたものあり)が、標準者として扱われず、未婚女性従業員と比較して昇格・賃金につき格差があった
  • 昇格決定がなされていない以上、損害賠償の請求に理由はないとして棄却された
  • しかし、低い査定は既婚女性であったことを理由とするものと判断され、昇格についても同期入社者昇給状況等と比較して不当な措置がなされているとされ、害賠償請求が一部認容された

人事評価制度導入・運用時の法令遵守のポイント

上記判例のように、人事評価制度は、運用時に労使トラブルが発生する可能性があります。押さえるべき事項は均等待遇、男女同一賃金、不当労働行為等ございますが、労働法に詳しい弁護士や社労士等の専門家に相談しながら導入と運用を進めることを推奨いたします。

お問い合わせ

人事評価制度の導入・構築・運用時に労働法に詳しい専門家にご相談されたい場合は、まずは当事務所にご相談ください。